息子から、離婚がしたいと連絡があった。
私にずっと優しい息子がそんなことを言うのだから、よほどのことがあったのだろう。
息子に電話をし、確認をした。
「あなた、無理してない?」
「ちゃんと大切にされてるの?」
「夫婦のスキンシップは取ってるの?」
そう聞く私に、息子はぽつりぽつりと消え入りそうな声で答えた。
小さくかすれた声が返ってくる。
昔から、自分よりも周りを優先して我慢強い息子。
電話口の息子は、彼女の気の強さに限界まで耐えていたことを物語っていた。
結婚式の直前、別れたいと言った息子を止めた。
それから結婚式を無事に終えて妊活の末、授かったと聞いたときは「うまく生活をしている」と思っていた。
一体何が起きたのだろう。
分からないまま、気が付けば嫁に電話をしていた。
何を言ったのかは正直あまり覚えていない。
でも、やっぱり彼女は気が強くて言葉の武器を持っている。
優しい息子がいつも折れていたのだろう。
離婚を止めるために電話をしたはずが、離婚した方がいいと確信するためのものとなった。
優しい息子は、自分では何も言うことができないかもしれない。
だから私が、背中を押す言葉をかけてあげなくては。
「あなたの人生なんだから、あなたが笑顔で生きることができる道を選びなさい。」
息子へはそう言った。
あの子は、兄弟の中でもいちばんやさしくて、人一倍人の顔色をうかがう子だった。
優しい人間は、強い人間に利用される。
私が生きているうちは、誰よりも先に気がついてあげて守らなくては。
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