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連載もの

「完璧な人生」とは、どんなものだと思いますか?
仕事も順調で、生活も整っている。
人間関係も穏やかで、将来も見えている。
誰が見ても、うまくいっているように見える状態。
でも、私たちはそんな順風満帆な時でさえ、違和感を覚えることがある。
一組の男女の関係を、3つの視点から描いた。
同じ出来事でも
人・立場が変われば、見えるものはまったく違う。
そしてその違いが、ふたりの選択を分けていく。
この話は、「うまくいかなかった恋愛」の話ではない。
「倫理的に正しい選択をした美しい話」でもない。
違和感を無視せず、
相手を思いやり、
無理に関係を続けない「選択」をした話である。
彼は、彼自身が「正しい」と思える選択を積み重ねてきた。
積み重ねてきた人生の先に、彼女との未来を置いた。
彼女は、彼が積み重ねてきたものの一部に一度はなろうと覚悟をした。
でも、そうすることの「違和感」に気づいてしまい、無視できなくなった。
正しいか、間違っているか、で決めることができなかった。
だからふたりは、「一緒にいる未来」を選べなかった。
ふたりの違いは
「何を基準に選ぶか」。
という部分だったのだろう。
人はときどき、倫理観や正しさを基準に選択をする。
それ自体は間違いではない。
ただ、それだけを基準にしたとき、自分の感覚を置き去りにしてしまうことがある。
だからといって、感覚だけで選べばいいという話でもない。
大事なことは、「なにを優先するのか」をその都度選び続けることにある。
この物語の中では、それぞれが違う基準で選択をしていた。
彼は「整った形」を求め、彼女は「その場にある違和感」を感じていた。
その違いは、この時点ではまだ小さなかけらに過ぎない。
でも、長く一緒にいるほど大きなズレとなってふたりを引き裂く。
そして、数年後の再会の日。
ふたりは偶然、別れた場所で出会うこととなる。
それぞれが別のパートナーと別の人生を選んだ未来での目配せ。
そこにあったのは、やり直しでも後悔でもない。
ただ、自分の選んだ人生に戻っていくという静かな「選択」。
この場面は、倫理観や正しさではなく、
「自分の現在地」を引き受ける行為である。
完璧な人生とは、何も迷いがない状態ではないのではないだろうか。
違和感や未練、消えない感情を抱えたまま、
自分の選んだ場所に戻ってくること。
それができたとき人は、その人だけの「完璧」に近づいていく。
「完璧」とは、周囲ではなく
自分が責任とともに、引き受けていくものなのかもしれない。
その選択が正しかったのか、は分からない。
ただひとつ言えるのは、
ふたりとも
自分の人生を自分で選び続けている
ということ。
この物語は、
その「選択」の積み重ねを描いたもの。
それぞれの視点から ふたりの選択を
\もう一度辿ってみてください/
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