離婚へのカウントダウン vol.3 ―情緒不安定―

これまでのあらすじ

子どもを出産して退院した日に痙攣を起こし、約一カ月の入院生活を送ることとなった息子と私。

退院してようやく家族で日常を過ごすことができると安心した矢先に離婚を突き付けられる。

話合いの末、予定通りの日に自宅へ帰ったが夫婦の間には不穏な空気が漂い続ける。

詳しくは、ぜひvol.1vol.2からご覧ください◎

朝早く、仕事の準備を終えた夫が

私と息子の眠る部屋に顔を出した。

「行ってきます。帰りは17時頃になると思う。また帰る前に連絡するから。」

「行ってらっしゃい。気を付けて。」

最近の出来事がリセットされたようなごく普通の会話をかわした。

喧嘩をしたいわけではない。

でも、パラレルワールドに迷い込んだような違和感を覚えた。

「子どものことだけを考えたい。」とそれだけを願い、見送った。

ニコニコと子どもをまっすぐ見てあげたい。

でも、頭の中ではずっと同じ言葉だけを繰り返した。

「これから先、どうやってふたりで生きていこう。」

首も座らない子どもを観察しながら、涙が勝手にあふれて止まらなくなった。

その涙の理由を説明する必要がない部屋で「今のうちに」と止まるまで泣いた。


気が付けば、夫が帰る時間になっていた。

「いまから帰ります」と夫からのLINEを開いたまま返事はしなかった。

顔を洗い、痛み始めたおなかにそっと白湯を流し込む。

朝のように、何事もなく静かな時間が少しでも長引いてほしい。

そんな願いもむなしく、帰宅後の夫の言葉はまた大きく私を突き放した。


「今日一日考えてたんだけど、俺明日仕事休みだし送っていくからやっぱり(実家に)帰って。車で送るから。」

「!?」

何度返す言葉を失えばいいのだろう。

「ごめん、一回子ども見ててもらえる?」とコンビニへ走った。

スマホだけを手に、実家の母に連絡した。

経緯を話すと「実家で過ごすことは構わない。でも、首も座らない赤ちゃんをまた長時間チャイルドシートに乗せて走らせるのはどうなのか、それも退院直後でまだ経過観察中なのに。」と言った。

私もそのことが一番心配だと伝えると

「一緒にいくないというなら、どちらかがホテルに泊まって離れて過ごしてみては?」と提案された。

たしかに!と思ったので、それを夫に話してみることにした。

電話が終わりに差掛ったころ、夫が子どもを抱いてコンビニ近くを歩いていた。

泣き出して止まらないから散歩に来た、と笑う。

そして、「ママがいいよね」と泣いている子どもを渡された。


並んで歩きながら、今後について話し始めると「やっぱり明日帰らないでほしい。」と言われた。

「そう」とつぶやくと、「離婚はしない」と言うので足が少し軽くなった。

ご飯を食べながら、取り急ぎ母へ帰省しなくて良くなったことをメールした。

が、

寝る直前にまた意見はひっくり返る。

「やっぱり離婚したい」と言い始めた。

それから次の日の昼頃まで、約2~3時間おきに離婚するしないを繰返した。


離婚するしないと繰り返す中「こんな環境で生活出来ない」と先に折れたのは私だった。

母へ電話をすると、70歳をこえる父が「俺が迎えに行く」と言っていたことを聞いた。

長距離運転を懸念した姉が「それなら私が行く」と言った話を、

それまで静かに聞いていた夫は「自分が送るから」とそれだけは、貫いた。

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この記事を書いた人

出来事と思考の断片を言葉にしている。
実体験をもとにした物語を連載中。

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